





・IoTとは何か。
・IoTによって実現できること。
目次
IoTとは何か?
IoTは「Internet of Things」の略で、日本語で「モノのインターネット」と言います。
概念としては、「現実世界の物事や出来事を、センサーによってデジタル・データ(数値化などの定量的なデータ)に置き換え、現実世界のデジタルコピーをインターネット上に送り出す仕組み」と言えるでしょう。
つまり、ざっくり言うと、現実世界にあるPC・スマートフォン、家電や自動車など身の回りのモノが、備え付けれたセンサーによりインターネットと繋がる、ということです。
このIoTによって何が実現できるのか?
その答えは、IoTと非常によく似た概念である「サイバーフィジカルシステム(CPS)」を説明する必要があるため、次章以降で説明しますね。
既にIoTとサイバーフィジカルシステム(CPS)の違いがわかっているよ、という方は以下まで。 「IoTにより実現できることは?」
IoTとサイバーフィジカルシステム(CPS)との違いは?
IoTとサイバーフィジカルシステム(以下、CPS)は、非常によく似た概念です。
先の章で、IoTとは、「現実世界の物事や出来事を、センサーによってデジタル・データ(数値化などの定量的なデータ)に置き換え、現実世界のデジタルコピーをインターネット上に送り出す仕組み」と説明しました。
それに対してCPSは、「IoTによってインターネット上に送り込まれた膨大なデジタル・データ(ビッグデータ)を、AI(人工知能)によって解析・分析することで、人間の勘や経験に頼っていた際には見つけられなかったモデル(規則性・データ)を発見し、その解析・分析結果を現実世界にフィードバックし最適化していこうとする仕組み」です。
※当記事ではIoTをインターネット上にデジタル・データを送り出す仕組み(上記図でいうと①)と捉えていますが、それだけでなくデータ解析・分析、現実世界へのデータの活用まで、つまりCPSと同義とする捉え方もあります。
従来のビジネスとIoTによるビジネスとの違い
IoTの普及によって、従来のビジネスから仕組みが大きく変化すると考えられます。
従来は、膨大なデータの中から個人の経験や勘による判断、観察や実験によって学習し、最適解を見つけ出してきました。しかし、この場合だと、どうしても、個人の経験値や伝統的な習慣や思い込みの範囲を超えることが困難という欠点があります。
しかし、IoTで実現する社会やビジネスの仕組みでは、センサーによって収集される膨大なデータから、機械学習によって最適解を見つけ出します。個人の経験や勘ではなく、ルールや統計値によって判断することため、無駄がなくなり、効率・コスト・期間の劇的な改善が期待できます。
IoTにより実現できることは?
IoTの登場により、大きく以下2つのことが実現可能になりました。
サイバーフィジカルシステム(CPS)の実現
先の章でCPSは、「IoTによってインターネット上に送り込まれた膨大なデジタル・データ(ビッグデータ)を、AI(人工知能)によって解析・分析することで、人間の勘や経験に頼っていた際には見つけられなかったモデル(規則性・データ)を発見し、その解析・分析結果を現実世界にフィードバックし最適化していこうとする仕組み」であることを説明しました。
上記からわかるとおり、IoTによって、現実世界のデジタル・データが仮想世界に存在するため、現実世界で問題となっていることを、仮想世界でAI(人工知能)を利用して、模擬実験(シミュレーション)ができます。
仮にシミュレーションがうまくいかなかったとしても、仮想世界であれば、AI(人工知能)のパラメータを変更しながら、何度でもシミュレーションが可能です。
シミュレーションを通じて最適解を見つけ、現実世界へのフィードバックをすることで、最適な意思決定などが可能です。そして、さらなる最適解を求め、現実世界のデジタル・データの収集→データの解析・分析→データの活用のサイクルが回すことで、常に最適な状態が維持されるようになります。
その結果として、大幅な納期の短縮やコスト削減などに期待ができるようになります。
たとえば、ある工場を例にとったときに、急な仕様変更が入ったとします。 人間の経験や勘に頼って作業を進めると、もしかしたら納期に間に合わないかもしれません。 さらに納期に間に合わないと分かった時点で、やり方を変えるわけにもいかないですよね。
しかし、現実世界のデジタルデータがある仮想世界でシミュレーションをして、納期に間に合わないことが判明しても、仮想世界であれば、すぐに元に戻すことができます。 何度でもパラメータを変えて、最適解を見つけ、現実世界にフィードバックすることで、納期に間に合わない等の問題が起こらずに済むということです。
モノのサービス化
モノのサービス化とは、サブスクリプション(定額料金を支払うことで、一定期間のサービスが受けられることを保証するサービス)や従量課金など、モノ(商品など)を売り切るのではなく、継続して顧客に使い続けてもらうビジネスモデルと言われています。
サブスクリプションや従量課金をすることが「モノのサービス化」といっているわけではなく、 「モノのサービス化」に当たり、サブスクリプションや従量課金という収益モデルが必要な背景があります。
「モノのサービス化」の本質は、ユーザ側(モノを使用する現場)とモノづくりの現場を、インターネットによって、直接に結び付けることにあります。
モノづくりの現場がユーザ側の変化やニーズをいち早くキャッチ・反映して、ユーザ側にフィードバックしていく仕組みとも言えます。
例えば「Apple Music」を例にとってみましょう。
iPhone(ハードウェア)にインストールしているApple Music(ソフトウェア)には、サブスクリプションがありますね。登録するといつでもどこでも曲が聴けるというもの。
しかし、ある時点でサブスクリプションに登録したときに、無料で聴ける範囲内に自分の好きなアーティスト(仮に、Aとしましょう)がいないとします。それでもAを聴きたいってあなたは、iTunesでAの曲を購入する、といったことをするかもしれません。
さて、IoTによって、あなた(ユーザ)が「iTunesでAを探している」というデータがインターネット上に送り出され、モノづくりの現場(ここではApple社)がリアルタイムにキャッチしていたら、どうなるでしょう。
AI(人工知能)によってデータを解析・分析した結果、他の多くのユーザもあなたと同じような行動をしていた場合、Apple社は「今はAの受容が多いのか」と判断することができ、Aのサブスクリプション解禁という意思決定が下せる訳です。
その結果、ユーザ側であるあなたも「サブスク解禁!!やった!!」と満足しますよね。
しかし例えば、「Apple Music(ソフトウェア)にたった数曲しか聴ける曲がなく、かつこれ以上増えない」となったらどうでしょう。到底ユーザ側は満足できないですよね。
従来のモノとは、まさにそういう形だったんです。(モノ=ハードウェア+ソフトウェア) これまではモノを一回売り切ってしまうと、継続してユーザ側の満足度を向上させるようなサービスの提供が不可能でした。
しかし、先述したとおり、IoTの登場でモノづくりの現場がユーザ側の変化やニーズをいち早くキャッチ・反映し、ユーザ側にフィードバックしていく仕組みが可能になったため、継続してユーザ側の満足度を向上させるようなサービスの提供ができます。 そこでモノ=ハードウェア+ソフトウェア+サービスと捉え、その「サービス」部分の価値への対価として、サブスクリプションや従量課金という収益モデルが必要になったという背景です。
最後に
ここまで、IoTとは何かを見てきました。
いかがでしたか。IoTに対する誤解やAI(人工知能)との棲み分けなど理解できましたか?
この記事を見て、IoTとAI(人工知能)の関係性、IoTによって実現できることを正しく理解していただけたら嬉しいです!
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